「これ、本当に美味いな。さすが、お前が作っただけの事はある」
「べ、別に。た、卵焼きなんて誰でも作れっ――え。何で先生、私が作ったって知っているんですか? 私言っていないですよね?」
「…………あ」
「え?」
何で気まずそうに顔を逸らすんですか? え、何。なんか怖いんだけど、なんで先生知っているの?
先生の反応的に何か、知られてはいけない方法で知ったと考えるのがいいだろう。もしかして監視カメラとか? でも、そんなの見るくらいなら私に直接聞いた方がいいし。
もしかして、服に何か仕掛けられてる?
私の制服はブレザーだ。クリーニングに出さないとうまく洗濯が出来ないから家では干しているのみ。もしかして…………。
「あ、ちょ、何してんの?」
「いえ、なんか…………あ」
「…………あ」
袖、なにか、ある。
先生の方に向き直すと、冷や汗だらだら。顔を青くし、目を逸らし続けてる。
手を伸ばし、確認がてら先生の跳ねている黒髪を避けると、先生の耳にワイヤレスイヤホンが…………。
「…………先生、この小さな機械はなんですか? なんか、小型のマイクみたいに見えるんですけど? 先生? こっちを向いてください? ねぇ、先生?」
…………これ、盗聴器だよね。待って、もしかして今までも付いていたの? いつから?
あぁ、もしかして。先生が私の家を知っていたのも、もしかしてこれか? GPSとかついていたりするのか? 嘘だろ。
「…………先生、何か言う事」
「…………俺は、卵焼きは少し辛い方が好きだぞ」
バキッ

