私と貴方の秘密の一年間

「先生?」
「――――ん。…………ん? あれ、どうしたんだ金糸雀美鈴(かなりあみすず)
「なんでいつもフルネームなんですか…………、まぁいいです。こんな所で寝ていたら風邪ひきますよ? 体も痛めてしまいます。もし、急ぎの仕事がなければ家に帰ってから寝た方がいいかと」

 あぁ、俺。準備室の机の上で寝ちまったのか。春の温かさにまけちまったかぁ、疲れもあるだろうけど。

 …………まさか、あの時の夢を見るなんて思わなかったなぁ。

「先生」
「なんだ?」
「私、先生が大好きです。なので、死なずに私とこれからも過ごしてください」

 満面の笑みを向けてくる金糸雀美鈴。まったく、ここは今密室と言ってもいいぐらいなところなんだぞ。廊下には誰もいないし、時間的には部活中だから誰かが通るようなこともないだろ。そんな中で、男女が狭い部屋で二人キリ。しかも、恋人同士だ。

「…………」
「あれ、先生? どうしたんですか? 私の顔に何かついてますか?」
「…………いや、何でもない。お前、俺の事好きすぎかよ」
「ほかの男なんて目に入らないくらい好きですよ。三度の飯より先生を食べたい」
「やめろ」

 なんか、その。生々しいからその表現はやめろ。