君と、世界一の結婚を。

…別に、桜川夕希の夢を、目的を否定したいわけじゃない。

むしろ逆だ、したくない。

でも…。

「私は、そうじゃない。世界一の結婚とか、興味なんてないし」

「そ…」

「お金とか、そーいうのでもなくて、私はただ、親が決めた婚約者が嫌で、ここに来たの。逃げて、来ただけなの」

そう、私はそれだけの理由で来た。

家がお金持ちで、そこの次女である私は高校に上がると同時に婚約者をつけることが決まっていた。

でも、それは嫌だった。

だから、マッチングシステムによって、性格、考え、すべてを測った上でパートナーが決まり、寮制であるこの学園に来た。

私はそれだけ。逃げただけ。

でも、桜川夕希は違う。

ちゃんとした夢があって…。