｢咲花っ！｣

僕が名前を呼んで隣を見たときは、もう既にいなかった。

…今、1番悔しいのは咲花だと思う

そんな咲花の側にいてあげたい

いなくちゃ

｢あ、初さん！咲花見なかった？｣

ドアの近くに初さんに声を掛ける

｢あ、桜川くん！秋野さんならあっちの方に行きましたよ｣

そう言って初さんは指を指した

｢おっけ！ありがとうね｣

教室を飛び出るように走る

ずっと、中間試験が始まったときから様子が変だった

いつもの咲花じゃないような。そんな感じ

何かに、縛られているような。

言いたくなさそうだったから、聞かなかった

でも、聞かなきゃ。

そして言わなきゃ。

…頑張ったよ、って。