「……星野さん?」


「…えっ!?」


「大丈夫?まだ体調悪いとか……」



彼がそう言って、私に手を伸ばしてくる。


……ってなんだ、この状況は!?考えてはダメなのに、やっぱり変な考えが湧いてしまう。


「…熱はないと思うけど」


「えええええええっとあのっ……!?」


焦って噛み噛みになってしまって、もはや人間の言葉を話せていない。


…いや、誰でもそうなるでしょ。好きな人から手を当てられたら。それに、距離が近……!


きゃーー!!と歓声が聞こえてくるくらい、私たちは注目されている。



何も動けずにいると、後ろの扉がガラガラと開いて、外から杉田くんが入ってきた。


き、救世主……!!


杉田くんはこの状況に一瞬目をぱちくりとしたあと、面白そうに笑って岬木くんのほうに歩いてきた。


「おー…朝から大胆なことするねえ、光は」


「翔?」


「見てみろよ、夜宵ちゃん顔真っ赤だし…」


そう言って、私の方に指をさす杉田くん。


た、大変見られてて逆に恥ずかしいのですが……


なんてことも言えるはずがなく、黙って視線を別のところに移す。


しばらくすると、今の状況をのみこんだのか、岬木くんがばっと顔を赤くして距離を置いた。