「失礼いたします、こちらお冷でございます」

「あ、ありがとうございます……って!」

「あれ、星野さん?」


見上げたら、水が入ったポットを持ちながら意外そうな目で私を見ている静野くんの姿があった。


……って、なんでここに岬木くんが…!?


彼は特に驚いてなさそうで、落ち着いた配色のエプロンとそのポケットの中に注文を受け取る用の端末が入れられている。


この服装、もしかして……


「ここで働いてたりする…?」

「あ、うん。ここ俺のバイト先だよ」


いつものように爽やかにニコッと笑う岬木くんだけど、



………かんっぺきに来る店間違えた…っ!


そりゃ私の学校はバイト許可制だし、今までだって働いてる同級生見たことあるけど、なんでよりによって彼なんだっ…!


自分で言うのもなんだけど、こんな地味女がぼっちでファミレス来るなんて、とか一人でこそこそやってやがる、とか思ってませんように…!


もともと人に作業してるところを見られるのは苦手だから岬木くんがここで働いてるのを知ってびくびくしてしまう。


「星野さん」

「は、はひっ!?」


うええ……動揺して噛んだ上に人として出ないような声が出てしまった…