(きょ)ーちゃっ!』


最初にまゆと遊んだのは俺が中学生の頃。

まだ言葉が覚束(おぼつか)なくて。

それでも俺の後ろをついて歩くまゆが可愛くて仕方なかった。


『響ーちゃがパパ。まゆがママね』


自分がまだ子どもなのに『ママがいい』と言い張って聞かなかったまゆ。


『響ちゃん、大好き』


『響ちゃんのお嫁さんになる』


そうやって無邪気に笑うまゆに対して甘い匂いを感じるようになったのが高校一年の時。

生まれて初めての感覚だった。

でも相手は幼稚園児。

ただの気の迷いだと思い、次第に距離を取るようになった。