「や……、響ちゃ…怖いっ…」


ボロボロこぼれ落ちる涙。

響ちゃんの姿が(にじ)んでゆらゆら揺れる。


「――っ、ごめ…」


右手をギュッと握り締めたのが分かった。

静かに私から離れていく。


「響ちゃん?」


「……ごめん。まゆの近くに居たら…我慢できなくなる」


スッと体を起こし、(うつむ)いたまま部屋から出ていった。

普段の穏やかな響ちゃんとは全然違う。

苦しそうで、余裕がなくて、何かに耐えてる…そんな表情だった。


明日からどうやって顔合わせたらいいんだろ…。


電気を消してベッドの上で自分の体を抱き締め、目を閉じる。

瞼の裏には切なそうな響ちゃんの姿が焼き付いていた。