「それじゃあゲームは終了よ。」
「パートナーとの距離は近づいたかな?」
「少しでも近づいたらうれしい。」
「では諸君。次もゴールデンカップルを目指して、頑張ってくれ!」
七海夫婦がそう言ってゲームは終わった。

「帰るぞ」

黒条くんはそう言って腕を引っ張った。
「あ。ちょっと待って。話したい人がいるの」
「?そうか。なら俺は先帰ってるな。」
「うん。またね。」
私はそう言って黒条くんに手を振った。


「あ、、、。あの!」
私は頑張って大きな声でそういった。

「?どうしたの?怜ちゃん。」
私が話しかけたのは蓮くんだった。

「黒条くんのさっきの話について、伺いたいのですが。」
「!」
蓮くんは少し固まって「あー。ここじゃあなんだから、俺達の部屋来なよ。」と言われた。

他の人の部屋なんて言った事ないな。
「えっと。じゃあお言葉に甘えて。」
そう言って、蓮くんについて行った。

「え?部屋隣だったんですか?」
「え。そうなの?もしかしてここの部屋?」
そういって私たちの部屋を指差した。
「そうです」
「まじかよ。お隣さんて。」
蓮くんも私もびっくりした。
「入っていいよ」と言われ、私は蓮くん達の部
屋に入った。

「ただいま〜。」
「ぉっ。お邪魔します。」
そうして中に入った。

「お帰り〜。あれ?怜ちゃん?」

不思議そうにこちらを見る柚葉ちゃん。
「ちょっと俺に話があるんだって」
蓮くんが説明してくれた。
「どうも」
そっと頭を下げた。
すると柚葉ちゃんは笑顔で
「いらっしゃい。怜。」
と言ってくれた。

「じゃあ怜ちゃんも座って。あの件について話そ。」

「!、、、はい。」
蓮くんってなんか黒条くんについて知ってるのかな。

「あのね。急になるんだけど、俺黒条と元クラスメイトだったんだよ。中学2年、3年の時。」
「え?黒条くんと?」
「そう。あいつ女顔だったから、男に女って勘違いされてよく告られてたんだよ。」
、、、私と一緒だ。
「女って言われたくなくて、一人称も自分から俺に変えた。よっぽど女って思われるその顔がコンプレックスだったんだろうね。」

「それと私の真面目なんの関係性が?」
つい質問してしまった。
すると、蓮くんが少し曇った顔で

「怜ちゃん最初黒条のこと冷たいなと思ったでしょ?」

「え?まぁ少し冷たくて怖いなとは思いましたけど。」
蓮くんは少しうつむいて
「やっぱり」と答えた。
「黒条あの顔めっちゃ気にしてて、それでも恋愛してみたいからって、七海学園高校に来たんだけど。」

「黒条があんな冷たいから、パートナーも少し冷たい子かなっておもったよ。」

「多分なんだけどさ。黒条、女に見られるのが嫌で不安だったんじゃない?」
「、、、不安?」
なぜ不安に思うのか私には分からなかった。

「怜ちゃんは、ゲームはパートナーとの距離が縮めるから大事って言ってたけど、黒条はこんな自分でいいのかだ自分に自信なくてその不安から冷たくあたったって話。」
「そういえば私が最初に女の子?って言っちゃいました。」
今更あの時の言葉を後悔する。
「別に黒条に謝れってわけじゃなくて、怜ちゃんの顔のコンプレックスがあるからこそ、分かる不安だから寄り添ってあげたら?」

私だからできること、、、。

「たまにはいい事いうじゃん。蓮」
ひょこっと柚葉ちゃんが出てきてそう言った。
「柚葉ちゃん⁉︎」
びっくりしてつい声に出してしまった。

ピンポーンとインターホンの音が部屋に響く。
「蓮。怜返せ」
「黒条くん⁉︎」
「あら。もう黒条来たの?」
行ってきな、と笑顔で蓮くんに背中を押された。

ガチャ

ギュ

私は黒条くんを抱きしめた。

「怜、、、?」
黒条くんは突然でびっくりしていた。

「黒条くんごめん。最初あんな事言って。私自分の事しか考えて無かった。」
「不安だったのに」
ぽろぽろと涙が出てくる。
「黒条くんこの高校に頑張ってきてくれてありがとう。」
もうどうでもよくなって、どんどん話してしまう。


「好きだよ。」

私はそう呟いた。
「、、、俺も。」
黒条がそう呟いた。

私はデステニーで選ばれたのが今、納得した。
私はもしかしたら運命の人と出会えたのかもしれない。