どれぐらい、そうしていたのだろう?

「お客さん、起きてください」

寝ぼけ眼で声の主を見遣る。

「大丈夫ですか?って…もしかして緒方?」

声をかける人は、ここの駅員のようだ。

しかし、その顔も声も、私はよく知っている。

「戸倉…?えっ、うそ!?」

一瞬にして覚醒した。

会えなくなってから、もう6年も経っているので、当然ながら、もうあの頃の少年ではない。

「戸倉…ここで何してるの?」

「何って、見ての通り、ここで働いてるんだよ」

そうだ。

戸倉は、部活少年でもあり、鉄道好きでもあった。

「緒方こそ、どうしたの?そんなおめかしして」

「ん…ちょっとね」