「ねえ、君。このまえはびっくりしたでしょ。うちのマンション、ペット禁止なのに、あんな声で鳴かれてさ、俺もまいったよ」


ちょっと、何、この男。

猫=女でしょうが!


「引っ越してきたばっかりで、まだ荷物もそろってなくてさ。でもうちの猫ちゃんが暴れたがってね、あんなふうになったわけ」

あー、そうですか。

それでカーテンを取り付けない状態であんなことしてたんですね!



「でも君、猫のこと内緒だよ。君だってしばらく見とれてたんだし。楽しめただろ?」



かあああっ。


一気に血が頭に登った。


あの晩の光景。


裸の女が男に組み敷かれ、卑猥な声であえいでいた。


向かいの窓から息を潜めてその情事を盗み見していた私。


彼は全部知っていたのね。