がくがくと震えながら、なんとか椅子までたどり着き腰を下ろす。

そして今自分がみたものがいったいなんだったかを冷静に考えようと試みる。



冷静――?


そんなふうになれるわけない。

だって、私、キスはおろか、男の子と付き合ったことすらないんだよ。

だから、当然、今さっき見た光景に出くわしたことなんかあるわけない。



――ふううううっ。


とりあえず深呼吸してみた。

少しは頭が冷えるかもしれない。



えっと、裸の男の人が裸の女の人の上にまたがっていて、女の人は悩ましい声を出していた。

これ、事実。



あれって、あれよね。

映画ではちょこっと見たことあるけれど、あんなふうに本当に行なわれていたのを見るなんて生まれて初めて。

まさかこんな形で遭遇するなんて考えてもなかった。






でも――。


隣のマンションの人はいったい何者なんだろう。