ランはまるで私の心のなかを見透かしているようだった。

やけに落ち着きはらった彼女に対してどうしても無防備になれない。

どうしてだろう。

なんだか怖くてたまらない。



「ねえ、アヤ。私にだけはなんでも話して」


びくっ。

体が震えていた。



「私たち、いとこ同士じゃない。隠し事なんかしないで」



ランの手が私の髪に触れる。



「そうだ、アヤ、麻生くんのお母さんのこと知ってた?」



その途端、私の体は硬直した。

ランの口からR、ううん、麻生リサコのことが語られるとは考えてもいなかった。

まるで何かに怯えきっている小さなうさぎのように、私は体をこわばらせることしかできない。



「麻生くんのお母さんてね、昔すごい人気モデルだったんだって。でも人気絶頂のときに結婚で引退。当時世間を騒がせたって」