【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~

「アヤ…」

真っ暗な部屋の奥から小さな声が聞こえた。

「ごめんね、まだ寝てる?」

「ラン…?」

重い体をゆっくりと持ち上げると、懐かしいあの顔がはっきり目に映った。

「うん。起こしちゃったね、ごめん」

「どうしたの? 来てたんだ」

「アヤとゆっくり話がしたくて…。今日、金曜日でしょ。ママに頼んで泊まれるようにしたの」

「ラン…」



堰が壊れた。

我慢して押し込めて、それでも溢れてしまって…。

でも、でも、がんばって無理をして、漸く心にふたをしていたのだけど、やっぱり無理だよ。



ランの声を聞いてしまったら…。


私はもう、自分の心に嘘はつけない。