【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~

「RYOって?」

彼女の表情が大きく崩れることはなかった。


「メイクアップアーティストの…。雑誌で見て、カッコいい人だなって思って。もしかしたら麻生くんのお母さん、知ってるんじゃないかなって」

「アヤちゃん、ファンなの?」

「あ…まあ、そんなところです」

わざと恥じらったような言い方でうつむく。

彼女が油断すれば何か聞き出せるかもしれない。



「それじゃあ、サインもらってきてあげようか?」

「いいんですか?」



しめた。

彼女はなんの疑いもなく、私を一ファンだと信じている。



「ええ。彼のことなら知っているわ。うちのモデルもお世話になっているから」