「マコは主人のことを本当に慕っていたわ。私がいてもごく自然に。それが嬉しくてね…」
彼女は華奢な指でハンカチを取り出すと、そっと目じりをぬぐった。
「そんな他人行儀じゃないですか。家族なのに…」
「そうね、家族なのにおかしいわね」
小さく微笑んだその表情がどことなく切なくて、私は罪の意識を感じた。
同時に、麻生くんがおかしくなったのは、もしかしたら父親の死が原因しているのではないか。
そう考えていた。
「ある日、その日は仕事じゃなかったの。仲間とゴルフに行く約束をしていたの。それで朝早くから一人で車で出かけて…」
声のトーンが下がっていた。
気丈にも普通に振舞っているように見えたが、彼女の肩が小刻みに震えている。
「ちゃんとメンテナンス専門のところに出していればよかったの。でも彼は自分には資格があるし、それにねたぶん一番は彼のプライドのせいだと思うのだけど、技術のあるかないかわからないやつに車を触らせたくはないって」
彼女は小さくため息をついたあとにこう続けた。
「あの日、彼の車のブレーキは制御がきかなくなってしまったの。それで前の車両に追突しそうになったのを避けて、彼はハンドルを左に切った。運悪く橋の上だったわ。欄干を突き破り、車は川に落ちてしまった」
彼女は華奢な指でハンカチを取り出すと、そっと目じりをぬぐった。
「そんな他人行儀じゃないですか。家族なのに…」
「そうね、家族なのにおかしいわね」
小さく微笑んだその表情がどことなく切なくて、私は罪の意識を感じた。
同時に、麻生くんがおかしくなったのは、もしかしたら父親の死が原因しているのではないか。
そう考えていた。
「ある日、その日は仕事じゃなかったの。仲間とゴルフに行く約束をしていたの。それで朝早くから一人で車で出かけて…」
声のトーンが下がっていた。
気丈にも普通に振舞っているように見えたが、彼女の肩が小刻みに震えている。
「ちゃんとメンテナンス専門のところに出していればよかったの。でも彼は自分には資格があるし、それにねたぶん一番は彼のプライドのせいだと思うのだけど、技術のあるかないかわからないやつに車を触らせたくはないって」
彼女は小さくため息をついたあとにこう続けた。
「あの日、彼の車のブレーキは制御がきかなくなってしまったの。それで前の車両に追突しそうになったのを避けて、彼はハンドルを左に切った。運悪く橋の上だったわ。欄干を突き破り、車は川に落ちてしまった」


