「さて…と。話がずいぶんずれてしまったけど」

すっかり冷め切った私の白磁を彼はふいに口元へ運んだ。

そして喉をこくりこくりと鳴らす。



間接キス…。

そんなことですら、高鳴ってしまう私の心臓。



彼とキスをしたい。



唇からこぼれそうになるのを何度もこらえながら、不自然な微笑を作る。


「アヤちゃん、このままバイトは続けたら。ずっとじゃないよ。ほら、コンタクトレンズの代金とかその分だけでも。もちろん君にプレゼントとしてあげちゃってもかまわないんだけど…」

「でも、それは悪いです!」

「いや、それより。僕が、いやなんだよね。このまま君にあえなくなってしまうことがさ」