「僕が何か悪いことしたのかな?」

不安げに揺れる瞳。

「知らぬ間にアヤちゃんを傷つけていたとか」

私はいたたまれなくなって、必死に頭を左右に振る。

RYOさんは何も悪くない。

一度私に触れたことはあったけど、でもそのあと約束はきちんと守られている。

それなのに、私の勝手な都合で彼を嫌な気分にさせているなんて。

「違います。RYOさんはなにも悪くなんてありません。悪いのは私です。私なんです…」

気がつくと手の甲に雫がぽたぽたと零れ落ちていた。



私はずるい。

自分に都合が悪くなるとこんなふうに泣いて逃げたりして。



RYOさんは何も悪くなんてないのに…。