「何人も見たっていう人がいるの、アヤが麻生くんちに入っていったって」

ランの声は低く冷たかったけれど、その声は小刻みに震えていた。

「最近、アヤ変わったもの。まつげ、アイラッシュしたでしょ」

度の強いめがねをしているからばれないだろうと私は高をくくっていた。

でも、ランの目はあざむけなかった。

「ごめん! ごめんね、ラン」

認めざるをえなかった。

ランは知っている。

どんな言い訳をしたって見透かされてしまう。

私は謝ることしかできなかった。