それでも、たったこれだけのことで私は呼吸が楽になったような気がしていた。

よろいを取り去ったような感覚。

体が軽い。



植木に水をやると言っても五分ほどで終わってしまった。

あとは電話番。

けれど、電話は一本もかかってこなかった。



時計を見たけれど、まだ四時半。

いくら適当な時間で帰っていいと言われていてもまだ早すぎる。

それに、図書館で勉強するから遅くなると親には言ってきた。



「どうしようかな…」


そうつぶやいてみたものの、私の心はすでに決まっていた。