【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~

家族と一緒に食事をして自分の部屋にふたたび戻ってきたとき、日はとっぷり暮れていた。

「八時か…」

真っ暗な室内。

時計の音だけがはっきりと聞こえてくる。



これなら向こうから見えない。

今なら大丈夫。

「よしっ」

と小さくつぶやきながらゆっくりと窓の方に近づく私。

窓辺には外の灯りがやわらかく差し込んでいる。

あの部屋の灯りなの?




ごくっ。

気持ちが先走るのをなんとか制して、私は喉を鳴らした。