またあれから時がたった....。

私は浅葱くんとしっかり話せずにいる。

要は気まずいということ。

「はぁ....」

「ひまりんどうしたの?」

「麻衣....なんでもない」

鈴屋 麻衣(すずや まい)同じクラスになって、初めて友達になった女の子。ミルクティー色の髪の毛を綺麗にたばねてポニーテールにしてる。

「何度見ても麻衣の髪の毛って綺麗な色だし、綺麗な髪だよね。」

「まぁ私ハーフだしー?髪の綺麗さは、陽葵の方が上じゃない?私は陽葵の黒髪ストレートの方がいいなー」

「隣の芝は青く見えるってやつかー」

なんて話していると、浅葱が教室に現れた。

「陽葵ちゃんおはよう」

「浅葱くん....おはよう」

満足そうな顔をして、浅葱くんが席に着く。

「あんた達、なんでそんな気まずそうなの?」

突然、麻衣がそんなことを言い始めた。

「気まずいなんて、そんなことないよ」

「いや絶対気まずい雰囲気がある!」

「いやそんなことは....」

麻衣と話していると、チャイムがなり学園長が教室に入ってくる。

麻衣は渋々と言った感じで、席に着いた。

「~ということで、デート遠足に言ってもらいまーす♡」

デート遠足....嫌な予感しかしない。






私たち3組はリボンランドに来ています。

「陽葵ちゃん、手つなご?」

「はい、あと私ここ来たことないので....その至らない点があると思いますがよろしくお願いします。」

「あはは、そんな堅苦しくならないでよ。一緒に楽しもう?」

「はい」

それから私たちは、ジェットコースター、お化け屋敷、映えスポットでの撮影など様々なことをした。

世の中知らないことの方が多いと思う。

でも知らないことの中のひとつに触れた気がした。

ベンチに座りながら遠くにいる浅葱くんを見る。

なぜだか途中から、先生の手伝いやしれないおばあさんのに持つを持ったり、知り合いのカップルの写真を撮ってあげたり、様々な手伝いをしている。

もしかして浅葱くんって....。

「ごめんおまたせ、思ったより荷物が多くて。」

「それはいいんだけど、もしかして浅葱くんって....人のおねがい断れないタイプ?」

「え?うーん確かに言われてみれば、断れないタイプかも!人のためだとしか思ったことないからそんなこと考えたこともなかったな....」

見た目チャラいのに、意外だな。

でも───。

「嫌なことを嫌と言えないのは、ただの自己満や保身よ」

世のため、人のため、みんなのため、そんなことのために壊れていく人を何人も見た。

「確かにそうかもしれない。これは自己満や保身かもしれない....でも、それでも相手に悲しい顔は出来ればさせたくないんだ俺は....」

「昔、大切な人を壊してしまったから....」

太陽は沈みかけ、空は黄金色に輝いている。

どうして彼はこんなに辛そうな顔をしているのだろう。

どこかで、どこかで見た。

でもどこで?

「───、ごめんね」

誰だっけ....。何も思い出せない。

「ゃん!陽葵!」

「え?」

「陽葵ちゃん大丈夫?なにか考え事してたみたいだけど....。すごく悲しそうな顔をしてるよ。」

「ごめん....私先バス戻ってる....」

「え?陽葵ちゃん待って」

誰だっけ、なんで彼は謝っているの?なにか思い出せそうで思い出せない。


しばらく歩いていると知らない場所に出た。ここどこだろう?

私どこまで出て....。

パレードの音が遠くからする。

ここはたぶんまだリボンランド内だと思う。

小さな公園みたいなところ....。

リボンランドをイメージして作られたのか、夢がいっぱい詰まってそうな遊具が沢山あった。

正確には詰まっていたなのか....。

どれも古びていて錆びている。雑草も沢山生えている。とても人が遊べる状態じゃない。

でも、どれも懐かしさを覚えてる。

なんだっけ───。

ガサッと言う音が後ろから聞こえてくる。

振り返るとお酒に酔った大学生ぐらいのお兄さんが2,3人いた。

「あれー?ここどこだ?迷子じゃねえかよー誰だよこっちって言ったやつー!」

「「お前だよ」」

「あはは俺かー」

なんて低俗な会話をしてるんだろう。
はぁどうしよう。

「っておい可愛い子ちゃん発見!」

「まじじゃんねぇ君も迷子?1人?お兄さんたちと遊ばないー?」

逃げようにも出口は塞がれている。

なんだろうこの感じ、足が震える。こんなこと今まで無かった。言い返せばいいいつも通り。何も言葉が出ない。なんで。

だれか助けて───。

そうやって俯いていると、前の方から知っている声がする。

「お兄さん達陽葵ちゃんは俺の彼女だからやめてもらっていい?」

浅葱くんの声だ。

「あ?こんなやつと付き合ってんの陽葵ちゃん?って言うんだ、もったいない俺にしときなよ。」

そうして彼が私に触れようとした瞬間、浅葱くんが手をはたいて私を抱きしめた。

「俺の彼女てか、婚約者だから陽葵に手出すなって言ってんの、わかんない?」

浅葱くんの声がその場を制す。
怒っていることに恐怖を感じたのか、大学生たちはいなくなった。

「遅くなってごめん!ごめん、本当にごめん。また怖がらせた。」

「また....?」

「あっなんでもない....とりあえずバスに戻ろう?」

今聞かなかったら、もう聞けない気がする

「葵生....お願い、教えて全部昔何があったか。」

「....わかった」