翌日。

土曜日になった。

目を覚ますと昼過ぎだった。 

学校は休みなので、問題はない。

布団から上半身だけ起き上がり、声をかけた。

『起きてる?』

『うん。』

寝ぼけ眼を擦りながら、シオリは頷いた。

オレは尋ねた。

『なんか食う?カレー?』

『あんまり空いてないから、軽い物。』

『あいよ。飲み物はコーヒーでいい?』

『いいよ。ありがと。』

オレは布団から出た。

買い置きしていたバターロールをトースターで焼き、朝食(時間帯的には昼食)を用意して、2人で食べた。

その後はシオリが持ってきてくれたお菓子を食べながら、のんびりと雑談をしていた。

楽しい時間を過ごしているうちに夕方になった。

オレは確認した。

『そろそろ帰った方がいいんじゃない?』

『うん。そだね。』

シオリは立ち上がり、帰りの支度を始めた。

…。

急げ…!

鼓動が速くなってきた。

『じゃあね、ジン。また…、来るね。』

玄関先でシオリが寂しそうに呟いた。

『あいよ。気をつけて。』

バタン。

ドアが閉まった。

彼女の足音が離れるのを待った。

慌てて時計を見た。

時刻は16時半を過ぎている。

やばい。

オレに残された時間は、残り1時間しかないようだ。

慌てながらも、掃除を開始した。

まずは掃除機をかけて、換気。

そして、念入りに床にコロコロを…。

シオリの長い髪が落ちていたら、マズい。

水回りも細かくチェックした。

髪が洗面台にくっついていないか…。

よし、大丈夫。

匂いは…?

分からない…。

とりあえず、アロマの香りがするスプレーを部屋中に撒いた。

後はカレーを混ぜておこう。