今日から、運動会の練習が始まる。

もう8月かぁー!

早いなぁー!

私たちの学年は、リレーと表現だ。

表現はまだいいけど、リレーは足遅いから嫌なんだよねぇー。

「心愛?何ぼーっとしてんの笑」

「あー!ごめんごめん。何の話だっけ?」

「真優香の彼氏の話。」

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そう。

最近、真優香に彼氏が出来たのだ。

なんかたまたま曲がり角でその人とぶつかってしまって、それからだんだん仲良くなっていって、結局、一昨日(だっけ?)から付き合うことになったらしい。

マンガみたいな話だなっと思った記憶がある。

「いいなぁ〜。羨ましいよ。ホントに。」

「2人はいないの?いいなぁーって思った人とか。」

「いないなぁー!」

「うん。私も」

私も笑恋も、気になる人はまだいない。

でも、笑恋が誰かと付き合う可能性もあるんだ
よなぁ。

「えっ!やばっ!あと5分で体育始まるぅー!」

「ほんとだ。急ごっ!」

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「ふぅー。ギリギリセーフ。」

キーンコーンカーンコーン

「はーい。では始めていきます。忘れ物をした人は―――。」

先生の話を聞き流しながら、私はある考え事をしていた。

リレーって確か、受け取るのがえーっと

あ……

悠瑠ちゃんじゃん。

え、最悪すぎるんですけど。

で、渡すのが、

俊くんじゃん。

気まず……。

「はい。じゃあ始め。」

え?え?ちょっと待って、何するの?

先生の話聞いてなかった。

「ここちゃん、行こっ!」

「へ?」

「ばーか。リレーだよ。」

私は真優香に手を引かれて、リレーの待機場所に行った。

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「よぉーいスタート!」

一斉にスタートした1番目の人達が、一生懸命、走っている。

練習だから、本気で走らなくてもいいのに。

あっという間に私の番が来た。

「心愛ちゃーん。はいっ。」

私は悠瑠ちゃんからバトンを受け取った。

なんか、悠瑠ちゃんよりも早く走りたくて、
一生懸命に走った。

「はい。」

俊くんにバトンタッチ。

おぉー。

早い早い!

思ってた以上に早かった。

「ねぇねぇ。ここちゃん。俊くん、足、クソ早くない?」

「思ってたよりね。」

真優香の意見に共感しながら、私は俊くんから目が離せなかった。

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ん〜。

なんでだろ。

あの時、目が離せなかったのは。

「おーい。大丈夫?生きてる?」

「あーー。ごめん。ぼーってしてた。」

「大丈夫?最近、ぼーってしすぎじゃない?」

どうしよう。

このことは笑恋たちに言うべきことか。

でも俊くんから目が離せなかったなんて言えそうにないよ。

「どうしたの?ここちゃん、さっきから面白い顔してるよw」

「すごいコロコロ表情変わるのおもしろw」

やっぱ、正直に言うべきか。

もう少し待ってから言おうかな。

うん。

まだこの気持ちの整理がついてないから、いつか言うことにしよう。

「待って。ほんとに大丈夫?」

「え、あ、うん。大丈夫、大丈夫」

私は真優香たちの話を聞きながら、また俊くんのことを考えていた。