私は、他の人達に比べて、結構いい人生を送れていると思っている。

友達はいるし、成績もそこそこいいし、顔やスタイルはわかんないけど、よく褒められる。

今日もいつもと同じ、日々を送る。

学校に行って、部活を頑張って、塾に行くだけ。

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「ここちゃ〜ん!今日席替えあるねん!」

「次こそは、近くになろーね!」

友達の真優香(まゆか)と笑恋(にこ)が私の席に来て、そう言ってきた。

2人とも、キラキラしていて、モデルみたいにスタイルも顔もいい。

そんな2人の友達と言うだけで自慢できることだと思う。

近くになって、学校生活、楽しみたいなって思ってた。

でも結局、みんなばらばらになってしまった。

「う〜。真優香〜。笑恋〜。めっちゃ離れたよぉ〜。」

真優香とは横に3席離れて、笑恋とは前に5席離れてしまった。

隣は俊くん。

いつもにこにこしていて、ときどき天然っぽいところが女子のハートをわしづかみにする。

俊くんって、思ってた以上にスタイルがいい。

足は長くて、身長高くて、髪もさらさらで…。

しかも笑ったときの顔が可愛らしい。

こういうところがモテるんだろうなぁー。

犬系男子っていう感じ?

とにかく癒される。

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「心愛〜!真優香〜!一緒かえろー!」

『わかったぁー!!』

靴に履き替えて、私たちは夕焼けの空のしたで、いろんなことで盛り上がった。

そういえばと思い、私は口を開いた。

「ね!ね!あの新しいカフェ行かない?」

「いいね!行こ行こ!レッツゴー!」

乗り気の笑恋がずんずんと歩いていく。

「んーまぁ!も、さいこぉー。」

「これも頼んじゃおうかなぁ〜。」

「心愛!美味しいのは分かるけど、太るよ?」

「あははは!」

「真優香も笑ってるけど、結構食べてるよ?」

「え!?」

笑いが溢れるこの日常は果たして青春なんだろうか。

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「ただいまぁ〜!」

「おかえりぃー!」

返してくれたのはいつものようにお姉ちゃんだけ。

お母さんは私が小さい時に事故で亡くなった。

お父さんはその時はまだそばにいて私たち二人の世話をしてくれたけど、大変だったのかよほどお母さんのことが忘れられないのか、勝手に家から出ていった。

それからは5歳上のお姉ちゃんと一緒に住んでいる。

「お姉ちゃん!この唐揚げ食べていい?」

「は?あんなに甘いもの食べてきたくせに、まだ食べるんかい。」

「なんで知ってるの?」

「そりゃあーねぇ〜!笑恋ちゃんから、LINEで写真が来たんよ。」

あっ。

そっか。

そういえば笑恋とお姉ちゃんは結構、仲良くてLINEも繋いでるんだったぁー。

「うまっ!」

あっ、って思ったのもつかの間、唐揚げを食べたのがバレて、私は怒られました(笑)

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今日は、席替えして始めてのグループ活動がある。

グループ活動やだなぁ〜!

俊くんとは相変わらず喋れないまんまだし、後ろの湊音くん(みなと)は優しいけど、いつもクラスの中心にいる子だからちょっと話しにくい。

斜め後ろの悠瑠ちゃん(はる)は―――。

「心愛ちゃぁーん。おっはよぉー。」

いつもこれだ。

クラスに1人はいる、名前は可愛いくせにそれに似合わず、変な喋り方の厄介な子だ。

「ねぇー!ねぇーってば!」

「何?」

「空海夏ちゃん(くみか)がねぇ〜!もう可愛すぎるのよぉーん。」

また始まった。

時代遅れの空海夏ちゃんを未だに推している。悠瑠ちゃんと空海夏ちゃんは似ている。

名前は可愛い癖に、ウザくて、顔は可愛くないのにイキってる。

しかもわかりやすいほどにぶりっ子だ。

そんな空海夏ちゃんのいいところ、推している部分をだらだらと自慢してくる。

正直、もうやめて欲しい。

「えー。ではグループになってください。」

始まってしまった。

こんな地獄な時間はない。

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「では5班は発表してください。」

「えーっと……。」

「おい。湊音。お前まさかサボってたんじゃねぇーの?」

「ち、違ぇーし。」

や、ヤバいヤバい。

私を焦らしてくるみんなの視線から抜け出したい。

「おい。お前らもういい。自分の席に戻れ。」

こんな状況になるのはわかっていたのに…。

でも注意しなかった私も悪い。

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―――えーっとこういう状況になったときはどうすればいいんだ?

目の前の俊くんはスマホをいじっている。

先生がいなくなったから、この時間は俊くんにとってはちょうどいいのだろう。

横の湊音くんは他のグループの人と喋るのに夢中。

はっ!っと思い、悠瑠ちゃんを見ると…。

期待ははずれ、YouTubeで空海夏ちゃんの動画を見ていた。

これがさっきまでの私のグループのSABORIグループの様子だ。

これじゃ、サボりって言われるのに無理もないし、先生が怒るのも当然のことだ。

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「ねっ!土曜日さぁー、2人とも、一緒に遊ばない?」

「あ、いいよぉー!」

笑恋から誘われ、私はもちろんOKした。

「あー。ごめん。その日、部活入ってるんだよ
ねぇー。最悪!私も遊びたかった。」

そっか!

真優香はバレー部で、大会で優勝したこともあるぐらいに上手いんだよね。

真優香!

一緒に遊べないのは悲しいけど、部活、頑張れ!

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「ここちゃん!やっほー!」

「ごめん。笑恋、待った?」

「いや、全然!今、来たよー」

その返事を聞いた私はホッとした。

「でさ!心愛〜どこ行く?」

「え?決めてないの?(笑)」

「じつはさ、昨日の夜さ、頑張って考えたんだけど、やっぱさ心愛の行きたいとこがいいかなぁ〜って考えに行きついてねぇ〜?」

笑恋が誘ってきたから、すっかり行きたいとこがあって、そこに行くのかなって思ってたのに(笑)

まぁそういうとこが笑恋っぽい。

「じゃあねぇ〜っ!あそこ行きたい!」

私は今、大人気の大人びたお店に入った。

ここではオソロで買えるものが売ってたり、流行りのものが安く売ってたりして、小・中学生のお財布に優しいお店になっている。

「ねぇ!これ可愛いすぎっ!」

「ホントだ!オソロっちにしない?」

「いいねっ!買お買お!」

こんなふうにいろんなお店でオソロっち買ったり、プリクラ撮ったりして、私たちなみに楽しんだ。

私たちは帰りのバスでこんなことを喋った。

「いやマジで楽しかった!心愛𝕋𝕙𝕒𝕟𝕜 𝕪𝕠𝕦」

「てんきゅーの言い方、イケボにしててウケるんだけど笑!」

『あははははは!』

こういう時に空気を和ませてくれるのが笑恋だ。

私はそんな笑恋が好きなんだ!

「でもさぁ〜!湊たちが居たの、超ビビったわ(笑)」

「マジでそれな!笑」

そう。

私たちが遊びに行ったとこに湊くんたちがいたのだ。

5、6人で遊んでいて、ばっちり目が合ってしまったのだ。

「気まずすぎ!」

「ガチでそれな!笑」

「てかけっこー、湊ってさ、センスあるんやね!笑」

「あー!服のね笑」

湊くんは意外と、(意外と、は失礼か笑)服のセンスがよかった。

新しい1面を見たなぁ〜!