純・情・愛・人

お腹を両の掌で包み、ゆっくり呼吸する。今のわたしにできるのは、愛する人を信じて、しっかり朝ご飯を食べること。

「・・・ホットサンドにしようかな」

コンビーフにキャベツの千切り、チーズもトッピングして。トマトサラダと、それから。

キッチンに向かいしな、ダイニングテーブルに置いたスマートフォンが着信音を鳴り響かせた。

相手は一人しか思い当たらない。そんなに心配しなくても。答えを先回りする。

「おはよう広くん、わたしなら元気」

『そうか。それなら良い』

「宗ちゃん・・・?!」

声を間違うはずがない。画面には確かに、登録した『広くん』の三文字が通知されていた。

『電話してやれとスマホを押し付けられてな。黙っていても、薫は俺を分かっていると言ったんだが』

胸が詰まって涙ぐんだ。大きく何度も頷いた。宗ちゃんも赤い糸を信じてくれている。

「・・・・・・うん、わたしは大丈夫。ちゃんとこの子と待ってる」

『いい子だ』

見えない温もりが頭の上に乗り、淡い笑みが手に取るよう。

「宗ちゃん」

何かが喉元までせり上がってきたけど、他に言葉が見つからない。

「愛してる」

『・・・ああ。分かっている』

深い声が耳の奥に沈む。

通話の切れたスマートフォンを抱き締めた。
もっと声を聴かせて欲しくて、切なくて。
今すぐ逢いたいと言えなくて。
寂しくて、泣いた。

だから聞きたくなかった、本当は。

広くんのお節介が優しく傷んで、つんと染みた。