純・情・愛・人

布団の中でうずくまり、自分で自分を抱き竦める。

『まーだ序の口なんじゃね? 園部が思ってるよか、しんどいぞ』

あの時は朝倉君の意地悪に聞こえた。忠告だったのかもしれない、足りていない覚悟を見抜かれて。

結婚が現実になって、初めて同性として意識する女性が現れた。宗ちゃんはわたし以外の存在を匂わせたことがなかったから、嫉妬とも不安とも今まで無縁でいられた。

これから知りたくないことも沢山知るんだろう。もっと心を裂かれることだってある。それでも逃げずに、挫けずに、宗ちゃんの花でいられる強いわたしになりたい。

たとえ継ぎはぎだらけになっても。自分の手で空いた穴を縫い合わせて、破けたら繕って。強がりじゃなく『平気』って笑えるわたしでいたい。

『遠慮しすぎだ』

淡い微笑みが過った。

ううん。甘えて縋ったら、わたしは宗ちゃんにぶら下がるただの荷物になる。

『我慢させねぇよ、何ひとつ』

もしも。広くんを好きになれていたら、わたしは。

頭の中が延延と空回りしながら、また浅い眠りに落ちていた。目が醒めた時には部屋は真っ暗で。下りて行くと、火にかけたフライパンをゆすってるお父さん。

「おー起きたかぁ?メシにすっか!」

「・・・うん」

甚兵衛姿で台所に立つ背中はいつもより広く見えた。なぜか込み上げそうになって堪えた鼻の奥が、痛くて仕方なかった。