純・情・愛・人

わたしを実家に置いたお父さんは、一度会社へ戻って行った。

『すぐ帰ってくっから大人しく寝てろや』

素直に頷くと二階でベッドに潜り込んだ。

点滴のおかげか倦怠感もだいぶ薄らいでいた。陽射しが西に傾き、薄暗い天井をぼうっと見つめる。

宗ちゃんに話しちゃったのかな。内緒にしてって頼むの忘れちゃった・・・・・・。

お父さんは理由を問い詰めるでもなく、『体だけは大事にしねーとな』とわたしを諭しただけだった。傷んでいたのは心のほうだと言えなかった。

ずっと続いてた“消化不良”は、外に吐き出せないなら押し込んで、のして。上からどんどん重ねるうちにいつか、何だったのかも分からなくなる。・・・そう思っていたら隅っこが破けて、飛び出した。宗ちゃんに向かってあんな風に。

ゆるゆると息を吐く。こんな弱くて狭い自分じゃ、有馬宗吾のそばにはいられない。

朝倉君に彼女がどういう人かを教えられてから、焦燥感に似た不安がまとわりついて離れない。わたしはわたしだと言い聞かせても、振り払えない。

広くんに抉られた心臓を塞ごうとしても。指のすき間から何かが漏れ続けている。