純・情・愛・人

目を覚ましたら点滴を繋がれた簡易ベッドの上で。記憶を巻き戻して理解するのに少し、かかったかもしれない。

「貧血と寝不足だとよ」

作業着姿のお父さんが、わたしを覗きこんでホッとしたように頭を掻く。

「まあ大したことなくて良かったわな」

「・・・心配かけてごめんね」

聞けば、救急車には課長が付き添ってくれたんだとか。連絡を受けたお父さんが病院に到着すると、わたしの荷物を手渡し、会社に戻ったそうだ。

「土日はウチでゆっくり休んでよ、月曜は菓子折でも持って仕事行けや」

「うん、・・・そうする」

しばらくして点滴の処置に来た看護師さんに、いつでも帰って大丈夫だと笑顔で説明され、特に薬を処方されることもなく病院を後にした。運ばれたのは、会社からそう離れていない総合病院だったと、出る時に知った。

現場から駆けつけてくれたお父さんの、会社のロゴが入ったワゴン車で実家に向かう。車の中で、わたしも課長にお詫びの連絡を入れ、逆に気遣ってもらえたのが申し訳なくて嬉しくて、胸が詰まった。

深町さんにも迷惑をかけてしまった。通販で人気のスィーツでも取り寄せてみよう。甘いものは好きだって、確か。

「カオル、晩メシは食えそーか?」

「あんまり・・・かな」

「なら、サッパリしたうどんでも作ってやっか」

隣から伸びてきた武骨な掌が頭の上に乗った。その温もりに、子供に戻って甘えたくなった。・・・無性に。