純・情・愛・人

それから次の日も、実家の掃除洗濯に明け暮れた。滅多にやらない窓拭きやら草むしりやら、家中のカーテンの洗濯やら。

動いて考えないようにした。朝倉君の言ったこと、宗ちゃんが今頃どうしているのかも。

夜は、ベッドやタンスがそのままの自分の部屋で、動画配信サイトの映画を観ながら寝落ちした。マンションには戻らなかった。

釣り旅行に出かけたお父さんは明日帰る予定だ。掃除もやり尽くし、今日はシネコンに映画を観に行こうと、無理やり自分を外に引っ張り出した。

数少ない友達も小さい子供がいたり、気軽に誘えるものでもなくて。お一人様は慣れっこだけど、さすがにゴールデンウィークは仲良さそうな家族連れや、二人連れの合い間を漂流しているようで侘しい。

選んだのはドラマの続編を映画化した作品で、途中何度も涙を拭った。どんな汚名を着せられても、守りたいものを守るために闘い続ける主人公の孤独が染みて、仕方がなかった。

シアターを出ると三時近く。ショッピングモールの専門店街をぶらついたら、出来合いのお惣菜でも買って帰ろう。

人の流れに沿って歩いているうち、気分が悪くなる前兆に気付く。普段このぐらいで人酔いはしない。たぶん夜更かし気味だったせい。

あちこちに設けられた休憩スペースも、この混雑でなかなか空きが見つからなかった。口許をタオルハンカチで抑えながら、通路の壁に寄りかかる。しゃがみ込みたいのを我慢して。

「・・・おい。大丈夫か薫子」