純・情・愛・人

宗ちゃんを、・・・好き?

不意打ちだった。心臓をかすめて矢が刺さっていた。躰にめり込んでいるのに、痛いのか苦しいのかよく分からない。ただ。

形だけの結婚で相手にも恋愛感情がないんだと思い込んでいた。妻になるプライドが愛人の存在を赦さないんだと。

彼はわたしに何を突き付けたいのか。その先に耳を塞ぎたくなる衝動と、裏腹に追究したい本能がせめぎ合う。目を背けて逃げても朝倉君は追ってこない、きっと。

パンドラの箱かもしれない。開けて底に残るのは、希望なんかじゃないかもしれない。

「朝倉君はよく知ってるの?・・・奥さんになる人のこと」

蓋に手をかける。

「コウキとタメで、二人まとめて子守りしてたからな。昔っから宗吾さんが白馬の王子サマらしーわ」

留め金を外したブラックボックスを。開いていく。

高校(ガッコ)出てすぐ、コウのオフクロさんのクラブ(みせ)手伝ってんだよ。きっちりテメーでホステスからのし上がりてーんだろ?負けず嫌いっつか、マジメっつか」

「そう・・・なんだ」

「料理教室だの着付け教室だの、なれんのか分かんねー内から必死に花嫁修業してるよーな女」

答える朝倉君の顔はどこかうんざり気味で。どこか、別の感傷が滲んでいる気もした。