純・情・愛・人

「失くすなよ?二度はやれないぞ」

淡く笑んでおもむろにVネックの襟元から覗かせたのは、チェーンネックレスに通されたリングだった。指の太さくらいの、少し幅のある。指輪。

おどろいて自分の胸に視線を落とすと、そこに揺れるのは、一目でお揃いと分かるサイズ違いのリング。恐る恐る掌に取り、釘付けになる。内側に刻まれた“S to K”の刻印に。

木目金と言うらしく、金属なのに木目調の紋様だった。弧を描く木目に沿ってダイヤモンドが三つ嵌め込まれていた。銀のようで金のようで、繊細な色合いをしていた。伝統工芸技法で作られ、同じものは二つないと後で知った。

「・・・これ・・・」

顔を上げかけて目の前が陰り、唇を盗まれたのは一瞬のこと。

「互いに代わりはいない証だ」

曇りのない凜とした眼差しが、胸に迫って込み上げた。

唯一無二。結ばれなくても、もしも二人でいられなくなっても・・・!

「薫は薫のままでいろ、それだけでいい」

宗ちゃんを宗ちゃんのまま、ただ愛してるわたしでいればいい。

「花でいろ。・・・汚れるな、お前は」

片腕で胸元に閉じ込められたから、深い声しか聞こえなかった。
どこか遠く響いた。
渡る風に攫われたように。
天を仰いだように。