純・情・愛・人

スマートフォンに景色を残したついでに、さり気なく宗ちゃんをフレームに収めようとしたけど、やんわり逃げられた。気恥ずかしいって言う理由で、いまだに一枚も撮らせてくれない。・・・瞼の裏に焼き付けておくのにも限界が。

たっぷりマイナスイオンを吸収して、(くだん)のお店を覗いた。相変わらずの順番待ちに「また今度」。わたしが言うと、「そうだな」と普通に返った。

当たり前に今日だけだと思わないでくれるのが愛おしい。叶う叶わない、じゃない。

笑みが勝手に零れながら、ここから近いもう一つの名所をリクエストしたら、思いがけない答えが返る。

吊り橋(それ)より花のほうが好きだろう?」

午前中に寄った高速道路のサービスエリアで、フラワーパークの観光案内を見かけたんだそう。最寄りのインターからだとちょうど下り方面らしく。

春の花だったら、チューリップ、パンジー、ポピーやガーベラ。カラフルな庭園を思い描き、ひとつ返事でいそいそと助手席に乗り込んだわたしだ。





道すがら遅めのお昼でお蕎麦屋に寄り、着いた頃は西の空が黄昏色を薄く滲ませていた。

家族連れが多くまだまだ賑わう園内は、三脚を立て、望遠レンズを付けたカメラのファインダーを覗き込む姿もあちこち。

油断すればはぐれそうで、宗ちゃんは絡めた指を離さなかった。今更の初恋みたいに胸の奥が小さく鳴き続け、止みそうになかった。