純・情・愛・人

あの冷徹仮面が好意の裏返しだったなんて。気付かなかった自分が浅はかだったんだろうか。・・・驚けばいいのか悔やめばいいのか、腑に落ちてもいるし混乱してもいた。

「そのマヌケ面、鏡で見てみろよ薫子。先に言っとく。謝ったら泣かすぞ?せいぜい口の利き方に気を付けろ」

不敵な笑みで脅された。見えない切っ先が頬を掠めた気配がした。

まじまじと広くんを見つめ返した。宗ちゃんはこんな風に気圧(けお)したりしない。命令はいつでも甘くて、意地悪で優しい。

朗らかに笑う男の子だった。悪戯がすぎておじさんに叱られたり、わたしの身長にすぐ追いついて得意げだったり。大人になってどうして変わったのか、ただ寂しかった。まさか想像もしていなかった。

普通の告白だったら、応えられない誠意を伝えられる。それでお互いに区切りもつくはずだ。なんだかすごく理不尽に思えた、彼の言い分が。

「・・・謝ってほしくないなら他にどう言えばいいの?」

「兄貴とは切れろ」

「広くん、」

「俺の方が惚れてる」

「わたしは宗ちゃんしか」

「お前は俺のものにする」

「わたしは宗ちゃんのものだから・・・ッッ」

夢中で抗った。