純・情・愛・人

戸惑いつつ、膝のうえで抱っこした寝顔の愛しさを噛みしめているうち、車はまた静かに滑り出していた。

横から大地の髪を撫でた広くんがふいに口を開く。

「琴音が俺に教えやがった。大地を預かった・・・ってな」

思わず隣りを振り仰いで、アーモンドアイとぶつかった。

「いいかげん兄貴の目ェ、覚まさせたかったんじゃねぇのか」

わたしへの執着がいずれ宗ちゃん自身を、永征会を、危うくしてしまわないように・・・?

すべては宗ちゃんのため。わたしの存在を赦したのも、すべて。同じ世界に生まれついた彼女の(したた)かな愛。

「で、コウが宗吾さんの事務所に一発かましてるスキに、オレはお嬢んとこからダイチをパクってきたワケよ」

赤信号でウィンカーを左に出した朝倉君が、芝居がかって肩をすくめた。

「園部に宿題写させてもらった借りなぁ、これでチャラなー?」

憶えている。わたしのプリントの答えをアレンジして写してたりとか。教科の先生は案外ごまかされていたっけ。

「借りってほどじゃないのに」

「弁当のおかずも食わせてくれたんじゃね?」

「朝倉君、いつもコンビニのおにぎりと焼きそばパンだったから」

「あのしょっぱい肉団子、けっこうハマったわー」

お父さんの料理は生姜焼きのタレが活躍してたのを、懐かしく思い出す。