純・情・愛・人

「ダイチなら心配ねーわ」

「ありがとう・・・っっ」

味方じゃないのは知っている、でも。二ンマリした朝倉君の笑い顔が、制服を着ていたあの頃と重なった。無邪気だったあの頃と。

「・・・行くぞ薫子。言ってやりてぇことがあるなら、・・・吐いちまえ」

どこを痛めているのか、顔を歪め立ち上がった広くんを横から支え、迷いながらゆるゆると視線を振り向けた。

肘掛けに頬杖をついて瞑目した宗ちゃんは、わたしの存在を切り離したかのように、こっちを見てはくれない。

「宗ちゃん・・・・・・」

跡取りは決まっていないと口にした。白紙に戻してくれたのか、火種は燻っているだけなのか。いつかもう一度、大地の道がふたつに別れる未来が訪れるかもしれない。

闇に魅入られないように。日なたの温かさを教えてあげる為に。

「大地には太陽をあげたいから・・・。今の宗ちゃんは冷たい北風で・・・寒くて、大地が凍えちゃうから」

支える腕に力を込めた。

「・・・広くんが必要なの。日なたで笑ってろって言ってくれる広くんと、」

芽吹いたこの気持ちに、愛という名前はまだ付かないけど。

「だから、行くね。・・・宗ちゃんがくれたもの全部持って行くね」

わたしに染み込んだ宗ちゃんはわたしの一部だから。愛しさも悲しさも喜びも苦しみも一緒に。

「・・・ごめんね。有馬宗吾を愛してあげられなくて・・・っ」