純・情・愛・人

「その辺にしとけ、・・・バーカ。俺に惚れてるようにしか聞こえねぇよ・・・っ」

ククッとくぐもらせた笑いで割って入り、()せた広くんが苦しそうに上体を揺らす。

「口の利き方に気を付けろと言わなかったか」

拘束が解かれたわたしの手は、宗ちゃんを止められなかった。胸ぐらを掴まれてイスごと床に引き倒された広くんを夢中で庇い、覆いかぶさる。

「やめて、おねがい宗ちゃん!!広くんが死んじゃう!」

「・・・いいから、退()いて、・・・ろ」

麻袋の下から呻くように聞こえた。

「俺・・・と兄貴でカタ、つけんのが筋、だろが」

「広くんじゃないっ、わたしが!ごめんね広くん、ごめんなさいっっ、もういいの!!」

「うる、せぇよ、・・・信じやがれ。兄貴がなに言っても、聞くんじゃねぇ、ぞ・・・っ」

見えないのに。口角を上げる不敵な彼がまざまざと。

それがたとえ、わたしを慰めるための強がりだったとしても。きっと助けてくれると思えてしまうのはどうして。

しがみつきながら涙ぐむ。

「でも大地がっ、聞かないと、だから・・・!!」

宗ちゃんと行くしか選択肢がない。

「無様だな。独りで乗り込んできた度胸は褒めてやってもいい。だが無駄口たたく以外、お前になにが出来る」

「ああ?・・・節穴のクソ兄貴に、言われたくねぇ、な。テメェになにが、分かる・・・。コイツは今も、『助けてくれ』って・・・俺に泣きついてんだよ・・・ッ・・・」