「広己が口を出すな。俺と薫のことだ」
「俺が惚れてる女のことだ、黙っちゃいねぇよ」
瞬間。宗ちゃんの気配が変わった。表情を変えずに眼差しを凍らせた。
ジリジリと胸を焼かれる痛みを堪え。わたしが目を逸らしちゃいけない。逃げちゃいけない。きっともう引き返せない、前に踏み出すしか・・・!
「・・・弟だと思って甘やかしすぎたか。俺のいない間に薫に何を吹き込んだ?お前は相変わらず小賢しい」
抑揚のない冷え切った声。心を持たない悪魔の化身のような。こんなに怒っている宗ちゃんは見たことがなくて、全身が総毛立つ。
「兄貴の人形だった女が、大地を守りてぇって泣いてんだよ。それとも笑って見えてんのか?大したフシ穴だな」
広くんの見えない背中がわたしの前に立ち塞がり続け。
「バカみてぇに兄貴に惚れてる女でもな?もう母親だろが。コイツの幸せがなんなのかも分からねぇなら、手ェ引きやがれ。薫子は俺が連れてく、日なたで笑わせてやる。永征会を捨てられねぇ兄貴にできることなんざねぇよ、一つも」
びくともしない盾になって。宗ちゃんから隠された。
「棲んでる水が違う女にしがみつくな。俺は極道を捨てる。捨ててコイツの道連れになる。兄貴は指咥えてそこで見てろ」
「俺が惚れてる女のことだ、黙っちゃいねぇよ」
瞬間。宗ちゃんの気配が変わった。表情を変えずに眼差しを凍らせた。
ジリジリと胸を焼かれる痛みを堪え。わたしが目を逸らしちゃいけない。逃げちゃいけない。きっともう引き返せない、前に踏み出すしか・・・!
「・・・弟だと思って甘やかしすぎたか。俺のいない間に薫に何を吹き込んだ?お前は相変わらず小賢しい」
抑揚のない冷え切った声。心を持たない悪魔の化身のような。こんなに怒っている宗ちゃんは見たことがなくて、全身が総毛立つ。
「兄貴の人形だった女が、大地を守りてぇって泣いてんだよ。それとも笑って見えてんのか?大したフシ穴だな」
広くんの見えない背中がわたしの前に立ち塞がり続け。
「バカみてぇに兄貴に惚れてる女でもな?もう母親だろが。コイツの幸せがなんなのかも分からねぇなら、手ェ引きやがれ。薫子は俺が連れてく、日なたで笑わせてやる。永征会を捨てられねぇ兄貴にできることなんざねぇよ、一つも」
びくともしない盾になって。宗ちゃんから隠された。
「棲んでる水が違う女にしがみつくな。俺は極道を捨てる。捨ててコイツの道連れになる。兄貴は指咥えてそこで見てろ」



