純・情・愛・人

「薫にも息抜きは必要だろう。たまには羽を伸ばせ」

淡い微笑みと一緒に頭の天辺に口付けが落ち、それがわたしを気遣う優しさだと分かっても、嬉しいより寂しさが広がった。

大地は俺が見るから薫は好きに羽を伸ばせ。・・・そう言ってくれたならきっと手放しで喜べた。

働かなくても子育てに専念できる生活は何もかも宗ちゃんのおかげ。大地が風邪を引けば、高機能、高性能な空気清浄機を三台も置いてくれたり、父親としての責任感や愛着が上辺だけじゃないのは身に染みている。

帰ってこられない間も電話のたび開口一番、『大地は元気か?』が口癖になった。だけど、夜泣きする大地の寝かしつけの苦労や、初めてだらけで四苦八苦する日々を分かち合おう、とは言ってくれない。

宗ちゃんはどこか、不自由のないお金や物を与えることが父親の愛だと、満足しているように見えた。・・・それも間違いじゃない。

『クセぇな』って顔をしかめながら、汚れた大地のおしりを拭くのも手慣れた広くん。泣き止まない大地を明け方まで交代で抱っこしたことも。

ただの甥っ子で、面倒だと途中で放り出したって構わなかったのに。大地は広くんの温もりで育った。これからもっと自我が芽生えていく大地を、叶うかぎり宗ちゃんの温もりで包んであげてほしい。

掌をきゅっと握りしめる。