純・情・愛・人

言うとおりにすれば、わたしはずっと宗ちゃんに愛してもらえる。大地は跡継ぎとして不自由なく大事にしてもらえる。離れて暮らすだけ、いつでも会える。

なにも失わない、傷付かない、変わらない、痛くない。この子に与えられた無限の未来を犠牲にする自分を赦せるなら。

目許と鼻は宗ちゃん似、口許はわたし似らしい大地は、サークルの中で無邪気に動き回り遊んでいる。絵本やテレビを見せながら『ほらワンワン』とか『ブーブーかっこいいねぇ』と話しかければ、『あーあー』おしゃべりしたり笑ったり。

愛しい愛しいわたしの命より大切な宝物。生半可な覚悟じゃ守り通せない、折られるのは簡単だと、広くんはわたしに迫っているのだ。

「わたしがどんなに頼んでも、おじさんと宗ちゃんは諦めてくれない・・・?」

「琴音が男を産む保証がどこにもねぇからな」

唇を噛みしめる。
自分になにが出来るだろう。

ここを出て実家に戻る?お父さんがいれば、いくら宗ちゃんでも無理は通せない。でもあの狭い家で小さい子供と一緒の生活は、きっとお父さんの負担になる。わたしはどうすれば・・・!

「情けねぇツラすんじゃねぇよ。お前が兄貴に選ばせろ、永征会を取るか薫子を取るか」