第1章 初めての笑顔

4月になり寒い冬が終わり、少し暖かくなってきたなーと思う。

私、林道 えみ(りんどう えみ)は中学校2年生に進級した。

クラス替えが終わり、仲の良い友達と同じになれた人、なれなかった人などそれぞれが騒いでいる。

私は、仲のいい友達がいなかった方だ。

進級したばっかりだというのに、今日も席で本を読んでる。

別に友達が少ない訳では無い。他クラスにはそれなりにいるし、人並みにはいる方だと思ってる。


ただこの2年5組にはいないだけだ。


もう一度言う。このクラスにはいないだけだ。


全体的に女子はリーダータイプがたくさんいるイメージ。

私は陰キャのなかの陽キャのイメージ、ついていけるわけが無い。

強いて言えば、帰りに一緒に帰っている、牧谷 はると(まきたに はると)が同じクラスにいるぐらい。

でも別に学校では基本的に話さない。だからその日も特に話すことなく学校が終わった。
帰りの時間になりみんな一斉に昇降口へと向かう。
結局友達ができることも無く、少し同じ部活の子と話しただけ(私が話しかけたけど全然返事がかえってこなかった)

昇降口も西と東で別れているためか友達の誰とも合わなかった。門のところに行くと人がたくさんいたもちろん私の友達も。


「まいまいクラス別れた〜悲しすぎる。5組友達いない〜」

「まぁしょうがないよ、ちなみに私のクラスにはかすみとはながいたよ。」

「え?ずるい私のまいまいと同じクラスなんて。」


そんな冗談を言いながらほかの友達とも話していた。

ちらりと目線だけはるとの方に向ける。すると目が合った、

帰るサインだ。


「まいまい帰ろー」

「了解」

ほかの友達に帰りの挨拶をし、歩き始める。学校の門の前のテニスコートにたっている男の子がいる、

はるとだ。


「おまたせ帰ろ」

「早く帰ろー」
私たちは、はると、まいまい、私の3人で帰っている。

小学校6年生からずっと。

「はると、クラスのメンツどうだった?」

「友達結構いるから楽しそうだと思った」

「いいな友達いて」

すごく楽しそうに話すから、はるとからすればきっと5組はいいメンバーなんだと思う。


途中でまいまいと別れてはるとと2人で帰る。

「そういえば、はると好きな人できた?」

「出来てないけど」

「えーじゃぁまだ世界中の女性が好きなの?」

「それは・・・忘れて」

1年生のころ、好きな人はいないのか聞いた時に帰ってきた答えが「世界中の女性が好き」だった。

面白いのでずっとネタにしている。

「まぁ好きな人が出来たら絶対教えるって約束したしまぁいいかー」

「そうだね・・・」

「じゃぁまた明日」

「うん」

相変わらず素っ気ない態度だなーとか思いながらも、挨拶しても返ってこなかった時期を考えれば、いい方かと思いながらその日は帰った。