愛は手から零れ落ちる


夜景の見える窓際のカウンター。
薄暗く、キャンドルがちらちらと揺れている。
軽い食事と、シャンパン。

本当にデートみたいだった。
私は櫻井君が彼氏だったらいいのにと想った。


ゲイだなんて、相手の男の人どんな人なんだろう・・・

急に悲しくなった。


「どうした? 」

櫻井君は私が急に口数が少なくなったので聞いてきた。

「周りはみんなカップルだよね。うらやましいなって。私たちだけ、偽装カップル・・・」

「・・・今日だけカップルでいいじゃん。」

櫻井君は私の肩に手を回した。


そんなことしないでよ~余計悲しくなっちゃう・・・


「少し疲れちゃった、そろそろ帰ろう。今日は付き合ってくれてありがとう。それに引越しの手伝いもありがとう。」

「どういたしまして! 」

櫻井君は私の顔を除き見るようにして言った。

私はその櫻井君の目線を切ってお会計場所に行った。

お会計が終わり、櫻井君を探すと櫻井君は外で待っていた。

「ごちそうさまでした。いい店だね。また来たい。」

「そうね。お互い次は恋人と来ようね。」

「・・・」


二人は帰り道を歩いた。
同じところに帰る・・・でも隣の部屋・・・

私は泣き出しそうだった。

・・・私、櫻井君が好き。正人さんは好きにならなくてはと思った人。櫻井君は初めて好きになった人なのに・・・なんでゲイなの・・・どんどん好きが増しているのに・・・