次の日、櫻井君は昼に電話をくれた。
「部屋見れるけど・・・来れば? 」
「すぐ行きます。場所教えて。」
「バーの前まで迎えに行くよ。待ち合わせしよう。」
櫻井君は、バーの前で待っていてくれた。
普段着の櫻井君は髪の毛をおろしていて、雰囲気が違った。いつものメガネもしていない。
「雰囲気違うね。」
「オフはこんな感じ。バーで幼く見られるのイャだから、髪上げて、ダテメガネしてるの。」
「ダテなんだ。びっくり。」
「おかしい? 」
「ううん。今日のが良いかな。」
「ふーん。」
櫻井君は大家さんからカギを借りておいてくれた。
「綺麗だね、すごくいい。日当たりもいいし、メゾネットもいい、トイレとバスが別なのがすごくいい。」
「俺のところは間取りが逆転している。」
「そうなんだ!」
「ここだと会計事務所にも近いだろ。バーにも近い。地の利はいいと思うよ。」
「決めたい。どうすればいい? 」
「聞いといてやるよ。今日大家いないって言ってたから。」
「ありがとう。ホントありがとう。」
その夜、マスターにこの話をした。
「櫻井の隣で問題ないの? 」
「だって、櫻井君ゲイだって言ってたから、問題ないかと・・・。いがいと優しいし、帰りも送ってくれるって言ってくれているので。」
「ふーん。」
櫻井のヤツ・・・ゲイだなんて話聞いたことないけど・・・
私は契約満了を待たずに1週間後の日曜日に引っ越しをした。
櫻井君が軽トラを手配してくれて、大した荷物もないので直ぐに引越は終わった。
「櫻井君、いろいろありがとう。お蔭様で無事引っ越せました。これから御馳走したいけどいい? 時間ある? 」
「焼き鳥屋か? お前の歓迎会の時、焼き鳥屋って言われてマジこのオヤジ若い子の歓迎会なのに焼き鳥屋かよってあきれた。」
「櫻井君って、本当はそんなこと思っているんだね。言わないからわからない。ほんとポーカーフェイス。」
「めんどくさいんだよ。・・・で、どこに行くの? 」
「行ってみたい店があるの。一人では入りづらい夜景の見えるかっこいい店。だから、少しだけおしゃれして付き合って。」
「デートみてー。」
「たまには女の子に付き合ってよ。」
「・・・ハイハイ・・・」
二人は少しおしゃれをして店に行った。



