私の心臓は急激に高鳴った。
封を開けるべきか悩んだ。
でも意を決して開けると中に入っていたのはホテルの封筒で、その中身は4冊の台紙に貼られた写真だった。
そう、あの事故の日に撮った記念の写真だ。
・ ウエディングドレスを着ている朋美
・ 着物を着ている朋美
・ 正人さんとウエディングドレスの朋美
・ 正人さんと着物の朋美
この4枚の写真がそれぞれ立派な台紙に貼られていた。
そして、ホテル側からのプレゼントとして、二人がレストランで仲睦まじく話しているところや、二人で食事をしているところ、着替えた私を見つめるやさしい微笑みの正人さんなど、何気ないスナップ写真が数枚小さな封筒に入っていた。
私はこの写真を見て嗚咽した。
もう・・・見たくなかったのに・・・
ホテルの封筒に全ての写真を入れて、これをどうしようかと悩んだ。
捨ててしまおうかとも思った。
でもそれも出来なかった。
大きな宅配用の封筒は処分しようと何気なく中を見たとき、袋の中に手紙が入っているのを見つけた。
正人さんの父親からだった。
—朋美さん
—葬式の時は悪かった。満足にお別れをさせてやれなかった。すまない。
—あれから妻は寝込んでしまい、最近ようやく起きられるようになりました。
—君も同じような想いをしているのではないかと心を痛めています。
—お送りした写真はホテルから届いたものです。妻には見せていません。
—でも、君が写っているのだし、正人とのことは現実だったわけだから、これは私から君に送ります。
—私もスナップ写真を見て胸が詰まりました。
—正人と君がこんなに楽しそうにしているなんて、正人の笑った顔も久しぶりに見た。
—朋美さん、辛いと思う。でもまだ君は若い。早く次に踏み出してほしい。
—先日、正人の納骨を終えました。以前、君から墓の場所を教えてくれと言われましたが、あえてお教えしません。
—悪く思わないで欲しい。すまない。
—正人のこと愛してくれてありがとう。
—感謝!
達 正之
泣いた。
ずっと涙が止まらなかった。
私だけでなく御家族の方も苦悩されている。
でもお父様は私に「ありがとう」と言ってくれた。
写真も送ってくれた。
正人さん・・・優しかった正人さん・・・
・・・もう・・・お別れしないといけません。
・・・『淡い思い出』にしなくては・・・



