――『……はぁ……はぁ……どうしようもうすぐ閉まっちゃう……』


ん……いい匂い……   


昨日ショッピングモールの中で見つけた、いい匂いがするお花屋さん。

もうすぐどこのお店も閉まっちゃう。

ここしかない、はやくなにか買わないとって慌ててお花屋さんへ入った私を、

お花がポカポカ癒やしてくれた。 

優しくて甘くて、鼻がツンとしてすっぱい。

時間がゆっくりに感じた。

わうくんと初めて出会った時のことを思い出して。

結局わたしは鈍くさいから、決められなくて買えなかったけど

だから帰りにケーキ屋さんに入って、優しい店員さんとお話できて、わうくんにおいしいって喜んでもらえた。


……すごく楽しかった、すごくいい思い出になった



「わうくん、たのしかった?」



恋人繋ぎのまま歩く帰り道。

聞いてから、わうくんの顔を覗き込んだ。

わうくんは少し目を丸くしてから、それからふにゃりとはにかんだ。



「うんっ……す〜〜っごく楽しいよ……毎日」



パタパタと見えないしっぽが揺れた気がした。