春風、漫ろに舞う

「……はあ…。」



リビングのソファに置かれていた、わたしのリュックを漁ってメイクポーチを出す。

さすがに、ずっとすっぴんのままじゃ恥ずかしいし。
大した道具は持ってないけど、何もしないよりはマシだよね。


また洗面所に行き、軽くメイクを済ませて戻ってくると。
今度は、一条さんが出迎えてくれた。



「芽来。上がったか。」


「お風呂ありがとうございました。
着替えまで…サイズぴったりで驚きました。」


「男の勘ってやつだな。
…こっちに来い、髪が濡れてる。
乾かさねえと風邪ひくぞ。」


「すみません…。」



ぽんぽん、と自分の前に座れと合図をしてくる一条さん。
素直に従うと、ドライヤーで丁寧に乾かしてくれた。