「確かに。使ってる生地は同じなの?」


「そうだよ。
だけど、ほら。例えば、巡ならボーカルだから等身大で見られることが多いでしょ?
だからなるべく動きがあるように、布沢山つけたりしてるんだよ。
逆に、織はギターだから演奏する時に邪魔にならないように最小限に抑えてるけど煌月らしさと織らしさが欲しいから帯のところに装飾多めにしたりしてる。」


「すごいこだわりだね。嬉しいよ。」


「…煌月に、巡に救われたから。
私ができることはしたいんだ。」



わたしの衣装の調整をしながら、そう話してくれる瑛の顔は少しだけ悲しそうで。
昔のことを思い出したんだと思う。


わたしは、瑛が楽しく過ごしてくれたらそれでいいから。
みんなが楽しくありのままで過ごせる居場所が欲しくて、煌月を作ったんだ。