「気楽にしてくれ、お前には助けてもらったようなものだ。
取って食ったりしない。」


「ま、まあ…。そうですね…。」



いやいや、そんなこと言ったって。
この人、絶対普通の人じゃないよね?
さすがのわたしでも察するよ。


早く帰してくれ…。
わたしなんにもしてないでしょ…。
さっきから、お母さんからの連絡も来てるようで携帯のマナーモードが何度か鳴ってるし。



「ハンカチ、大切なものなんですよね。
無事お渡し出来たので、わたしそろそろ…。
母も心配しているようなので…。」


「ああ、そうだな。十葵に送らせる。」


「すみません…。」



送ってもらうなんて申し訳ないし、後が怖いからお断りしたいけど。
もう日付が変わりそうだし、ここから駅までどのくらい掛かるのかも何も分からないから。
お言葉に甘えることにしよう。