「……クッソ。」



極道と言っても色々な組がある。
うちの組は、麻薬等は禁止しており寧ろ取り締まるようにしていたりする。
今日は、経営しているキャバクラや風俗店の集金に向かったが、そこで一悶着。

無事、集金は出来たがやはり疲れる。
最終的に金を出すなら、最初から出せばお互い楽だと思うんだがな…。



ふと、煙草をふかしながら顔を上げると。
眩しいくらいの月明かりが俺を照らしていた。


月か…。
最近じゃあ、ゆっくり月を見たりする時間も無かったからな。
今日は満月、何かいい事でもあればいいが。



そんな事を考えていたら。
一人の女が、じっと俺を見ていた。

なんだこの女は。
黒髪から覗くシルバーホワイトの髪が人目を引く。
らしくもなく、綺麗だと思ってしまった。
それよりも、黒い大きな瞳が俺を真っ直ぐに見つめていることにドキッとした。