春風、漫ろに舞う

俺の目から見ても、最近の芽来は学業にバイトに活動と忙しそうだった。

それでも、俺との時間を大切にしてくれていたし…体調を崩したのは、疲れもあったんだろう。



「…あんまり、無理しないでくれよ。」



頭を撫でて、起こさないように。
そっとキスを落とした。


…にしても、芽来が男装か。
端正な顔立ちをしているから、そこらの男よりもかっこよくなるのは間違いない。



「…女からもモテるのか。」



男だけじゃなくて、女までも虜にしていくのかお前は。

俺だけじゃ飽き足らず、他の人間まで誘惑して堕とす気なのか。
いっそ、本当に閉じ込めてやろうか。

ただでさえ、お前のバンドの名前も知られてきて…お前を知ってる人間が増えて、どんどん俺から遠ざかっているような気がしているのに。



「……焦るなんて、らしくねえな。」



芽来に出会ってから。
俺は、こんな風に一人の女を愛せる人間だとは思わなかった。
独占欲も、支配欲も、嫉妬も。
俺の中にあるなんて、思わなかったんだ。


俺の唯一無二。一心同体。
どんな言葉でも表せられない、俺だけの愛おしい存在。